黒き尊き魔女の結婚 黒き尊き魔女の結婚12 鏡の中のフィリス とうとう舞踏会まで二日となった。明日には王都をはじめ国中から、招待客がやって来る。 フィリスは夜半、寝室で、アルカルドの寝顔を見つめている。 『君との結婚を、幸運だったと思い始めている……』 そう言ってくれた夫は、相... 2024.06.21 黒き尊き魔女の結婚
黒き尊き魔女の結婚 黒き尊き魔女の結婚 11 嫉妬 木漏れ日が手の甲に繊細な模様を編み出している。フィリスは籠を地面に置いて、両手を光にかざした。 エントワーズの屋敷からほど近い森に来ている。故郷の森に比べれば小さいが、屋敷の中にいるより、ずっとくつろぐことができる。 ベリー類や... 2024.06.17 黒き尊き魔女の結婚
黒き尊き魔女の結婚 黒き尊き魔女の結婚10 予期せぬ来客 本当になんて美しい女性なのだろう。 彼女の金髪は、蚕の繭から取り出したばかりの糸に似ている。一本一本が細く、柔らかそうな艶を放つ。瞳は近くで見ると、ごく淡い水色。アルカルドの瞳が深い湖を思わせるなら、彼女の瞳は春の空を連想... 2024.06.13 黒き尊き魔女の結婚
黒き尊き魔女の結婚 黒き尊き魔女の結婚9 魔物の正体 フィリスが取り逃がしたのは、魔の欠片だ。アルカルドの腕は時間をかけて浄化していたため、欠片だけならば、そう大きな惨劇は起きないはずだ。 それでも、念には念を入れておく必要がある。 なぜなら魔というものは、はじめは、霞のよう... 2024.06.09 黒き尊き魔女の結婚
黒き尊き魔女の結婚 黒き尊き魔女の結婚8 アルカルドの戸惑い フィリスが嫁いできて二十日目にして、アルカルドは彼の妻を抱こうとした。 アルカルドは二年という限られた期間内に世継ぎをもうける必要がある。本来、一日の猶予もないはずが、嫁いできたフィリスという娘があまりにも風変わりだ... 2024.06.07 黒き尊き魔女の結婚
権藤頼子はやさしい手をしている 権藤頼子はやさしい手をしている 4 さよなら、バイバイーーー泣かないでね。ちょっとはいいけど、たくさんは泣かないでね。大丈夫。きっとすぐにまた会えるから。 第四話 小川佳代の事情 朝起きると、しま子の姿は消えていた。 古民家は無駄に部屋数があって、頼子が寝起きしているのは、... 2024.06.04 権藤頼子はやさしい手をしている
権藤頼子はやさしい手をしている 権藤頼子はやさしい手をしている 3 新しい毛皮を着て大事な人のところへ戻りたい。情念にも似た猫のひたむきな愛。でも、もとの世界は容赦なく時間が流れていて、飼い主は……。 第三話 小川のしま子 猫は九生を生きるという。つまり、八回、生まれ変わるということだ。 生まれ変わる度... 2024.06.04 権藤頼子はやさしい手をしている
小説を書くということ 投稿前の小説、誰かに読んでもらってる? 自分でもなかなかの自信作だと思える小説が書き上がった。よく言われるのは、「誰かに読んでもらってから応募した方がいい」。でもそれってものすごく勇気がいることですよね。皆さんはどうしていますか。 文章力があり小説好きの知人に読んでもらう わた... 2024.06.03 小説を書くということ
黒き尊き魔女の結婚 黒き尊き魔女の結婚7 フィリスの失態 アルカルドは、身体が軽くなっているのを実感していた。 朝、目が覚めた時、頭がすっきりとして、深く眠れたことが分かった。起き上がると、例の忌々しい腕の痛みは、だいぶ良くなっている。驚いて痣を確認すると、薄くなったように見え... 2024.06.01 黒き尊き魔女の結婚